仲源寺の千手観音像
祇園の町なかにいます丈六像
住所
京都市東山区祇園町南側585
訪問日
2012年10月21日、 2013年12月8日
拝観までの道
仲源寺(ちゅうげんじ)は四条通に面し、南側にある。最寄り駅は京阪本線の祇園四条。下車後東へ3分。
バス停からは、「四条河原町」から東へ、または「祇園」から西へ、それぞれ約5分。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
仲源寺は浄土宗の寺院。
本尊は目疾(めやみ)地蔵尊。鎌倉時代に長雨を止める霊験があったとして雨止(あめやみ)地蔵と言われたものが、転じたという。3メートル近い大きさの坐像で、室町時代ごろの作。
町なかにあって、決して大きな寺院ではないが、厚く信仰を集めているお寺で、ご参拝の方が次々といらっしゃっていた。
本堂向って右側手前の収蔵庫に安置される千手観音像は、近世の史料によれば、もと東南にあった桂橋寺の旧本尊。この寺が応仁の乱の兵火のために廃寺となったのち、移されてきたという。
拝観の環境
千手観音像は、収蔵庫の前面のガラス越しに拝観する。20時ごろまで拝観ができるようで、日が落ちてからは、収蔵庫内の明かりでよく拝観できる。逆に日のあるうちは、ガラスの写り込みで、よく見ることは難しい。
仏像の印象
像高約2メートル半、ヒノキの寄木造。平安時代後・末期作の堂々たる丈六坐像である。
目は切れ長で、落ち着いたやさしい表情をしている。肩はややなで肩で、胸は堂々と大きい。それに比べて、脚部が低く、また脇手は小さくアンバランスな感じである。もっとも脇手および持物の大部分は後補である。
条帛や下肢の衣は、やや定型化しているものの、美しい線の流れを見せている。
その他
本堂内、本尊の目疾地蔵尊に向かって左の脇の間に木造の山越し阿弥陀像が安置されている。
手を胸前で構える阿弥陀如来の胸像とその前に山の形をした彫刻がセットになっており、山を越えて来迎する阿弥陀如来の姿を造形化したもの。絵画作品にはあるが、彫刻としては珍しい。
収蔵庫と同じくお堂の外からガラス越しでの拝観。距離があるので、一眼鏡のようなものがあるとよい。
さらに知りたい時は…
『TV見仏記』8(DVD作品)、京都チャンネル、2007年
『三十三間堂と洛中・東山の古寺』(『日本古寺美術全集』25)、集英社、1981年
『古仏との対話』、吉村貞司、美術公論社、1979年