慈恩寺の阿弥陀如来像

平安前期を代表する仏像

住所
亀山市野村3-18-1


訪問日 
2017年4月1日


この仏像の姿は(外部リンク)
三重県教育委員会・みんなで、守ろう!活かそう!文化財・情報データベース


拝観までの道
慈恩寺は、JR亀山駅から西北へ徒歩約20分のところにある。浄土宗寺院。
現在は住職常住の寺でなく、地域の方が管理している。
拝観は事前連絡必要。問い合わせ先は亀山市役所のまちなみ文化財室。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
本尊の阿弥陀如来像は平安時代前期を代表する仏像である。
もともと行基草創の薬師寺というお寺の本尊の薬師如来像であったとも伝える。このお寺は忍山神社の神宮寺であったといい、近世に浄土宗の慈恩寺となってから阿弥陀如来像に転用されたともいうが、確かなことはよくわからない。
右手先や両足先などは後補。


拝観の環境
本堂に安置。
堂内は比較的明るいが、天蓋から下がる立派な飾りのために顔はやや暗く、また横顔の表情も見ることはできない。


仏像の印象
像高約160センチの立像。樹種はヒノキというが、カヤあるいはケヤキとする判断もあるらしい。

内ぐりもない古様な一木造であるが、乾漆も併用しているという。平安時代前期の仏像の中でも古い時期のものと思われる。

 

肉髻は自然なふくらみで、静かな顔つきを見せる。鼻筋がよく通り、顎は力強い。胸もとを大きく開いて、上半身はとてもゆったりとした雰囲気を出す。右手には衣はかからず、一方左腕から下がる衣はダイナミックである。
腹では力強く襞を刻み、腿は肉付きのよさを強調して襞は刻まない。股間のV字形の文や左腕下の渦巻き形の文が像にアクセントを加える。
ほぼ直立するが、左右に微妙なバランスをとり、また前後でも絶妙に像の動きを表現している。


さらに知りたい時は…
『三重県史 別編 美術工芸 解説編』、三重県、2014年
『亀山市史 美術工芸編』、亀山市歴史博物館、2011年
『慈恩寺重要文化財木造阿弥陀如来立像調査概報』(『亀山市文化財調査報告書』14)、亀山市教育委員会、1995年


仏像探訪記/三重県